弊社とお付き合いいただいておりますクライアントの皆様やWEBプロモーションに関するご相談をいただく事業者様の状況を見ると、BtoC・BtoBを問わず、店舗型ビジネスをされている事業者様でも従来は紙中心で行っていたプロモーションをオンライン施策にシフトチェンジ(マーケティング予算の比重が変化)したりと、WEB上でのマーケティング活動が活発になってきています。
しかしながら、オンライン(WEB集客施策)とオフライン(店舗収益)をシームレスに連動させながら、データ分析や正しいKPIの設定、広告予算の投下を行えている事業者様はまだまだ少ないように見受けられます。
今回は、運用型広告経由での売上貢献が測りづらい店舗型ビジネスの事業者様でも始められる収益性(ROAS)を意識したKPIの設定方法、およびROAS最適化の広告運用方法について、実例を交えてご紹介いたします。
CVポイントの考え方
まずは、最初のステップでありながら最も重要となるCVポイントの設定について考えてみたいと思います。
運用型広告において、ゴールを達成する(ビジネス全体の収益性を上げる)ためには、そのゴールを達成する可能性が高いユーザーを見つけてくるよう広告媒体で使用されている機械学習に指示を与える必要があります。
その指示を与えるためには、「どういったユーザーがゴールを達成してくれる可能性が高いか」を理解させるためのデータを蓄積する必要があり、その一番の判断材料となり得るものが”CVポイント“です。
店舗型ビジネスでは一般的には、「来店予約」「カタログ請求」「無料体験」「お問い合わせ」「電話クリック」などがCVポイントになります。
可能な限り、広告運用を開始するタイミングでビジネスにとって有効だと思われるアクションはCV計測の設定をしておきましょう。
KPIの設定方法
各CVポイントの計測設定できたら次は、各CVポイントの”売上期待値“を算出し、コンバージョン値として設定をしましょう。
コンバージョン値の計測を”なし(値=0)”にすることも可能ですが、複数のCVを計測している場合は、コンバージョン値の設定をすることで広告運用の最適化の質が高まるのでオススメいたします。
※コンバージョン値を設定することでどのような数値改善に繋がったかは後ほどご紹介いたします。
売上期待値の算出方法をイメージで表すと下記です。
「来店予約」「カタログ請求」を例にご説明いたします。
例1)来店予約
最も収益につながる可能性が高い「来店予約」を例に考えてみます。
実際に来店される方なので、”来店時購入率“と”平均購入単価“のデータがあれば、売上期待値を算出することが可能です。
売上期待値を算出した上で目標ROASが決まると目標CPA(10,000円)が決まります。
逆に目標CPAを決めてから目標ROAS (500%)を決めることも可能です。
例2)カタログ請求
すぐに収益につながる可能性は低いものの、将来のお客様になっていただける見込みがある「カタログ請求」を例に考えてみます。
カタログ請求後に実際に来店される割合も把握する必要があるので、”来店時購入率“と”平均購入単価“に加えて、”来店率“のデータがあれば、売上期待値を算出することが可能です。
売上期待値を算出した上で目標ROASが決まると目標CPA(1,000円)が決まります。
逆に目標CPAを決めてから目標ROAS (500%)を決めることも可能です。
KPIはROASで設定する
上記のような考え方で目標CPAと目標ROASが決まるかと思います。
広告を運用する上では、目標ROASに向けて最適化をしていきましょう。
その理由は、目標ROASであれば複数のCVポイントを計測している場合でも、コンバージョン値を与えたことにより、ビジネスにとって重要な(収益性が高い)CVに対して最適化が働いていくからです。
目標CPAは各CVポイントで異なるので、目標CPAでの広告運用はどうしてもCVの優先順位を付けた機械学習への指示出しが難しくなります。
事例のご紹介
ここからは店舗型ビジネスにおいて、実際に上述した方法でKPIの設定を行い、ROAS最適化で広告運用を実施した弊社での事例をご紹介いたします。
なぜROASで運用を行うべきなのか
本事例の課題でも出てきますが、実際には重みが異なるCVポイントを一律で計測し、全てのCVポイントで同じ目標CPAへの最適化を行っていたり、各CVポイントの適切な目標CPAが分からないといった課題をお持ちの事業者様がいらっしゃるのではないでしょうか。
CVポイントの考え方でも述べた通り、運用型広告の最適化を行う上では、複数のCVポイントを設定することが望ましいのですが、最も重視視しているCVが獲得できていないようでは「なかなか売上に繋がらないし広告を打っている意味がない…。」といったことになりがちです。
最重要CVの増加とROAS改善の事例
上記のような課題をお持ちの事業者様にご覧いただきたいのが、CVポイントごとに値を与える(重み付けを行う)ことにより、最重要視するCVの増加と全体でのROAS改善に繋がった運用事例です。
配信構成について
本事例の案件情報や課題は以下となります。
業種・商材 | BtoC(呉服販売・レンタル) |
従来の課題(前代理店での運用時) | 1.各CVにおける妥当なCPAが分からない 2.収益性が高いCV(来店予約)を増やしたい |
CVポイント | 1.来店予約 2.カタログ請求 3.サイトでの購入 |
改善施策
前代理店の運用で感じていた課題をご共有いただき、弊社での広告運用を開始させていただきました。
これまでは、計測環境が整備されておらず、過去の広告配信レポートのデータもあまり参考にならないものとなっていました。
そのため、計測環境を整えた上でKPIの再設定・ROAS重視での運用を実施いたしました。
ROAS重視での運用を行うためのステップは大きく分けて以下の2つです。
1.各CVポイントでの売上期待値(コンバージョン値)の把握・設定
KPIの設定方法で記載した手順で、各CVポイントから生み出されるであろう売上期待値を算出する必要があります。
<POINT>
既にCRMツールなどを用いて顧客ごとのデータが蓄積されている場合は、比較的容易にCVポイントごとの売上期待値を算出することが可能かと思います。
ですが、そこまでデータが整っていない事業者様であっても、まずは店舗の方の意見を伺いながら来店時購入率、平均購入単価を算出してみてください。
2.自動入札(目標ROAS)の導入・ROAS重視の予算配分
ROAS最適化の自動入札に対応した媒体で自動入札の導入をいたしました。
また、対応していない媒体においてもコンバージョン値・ROASを可視化することにより適切に予算配分が行えるようになりました。
ROAS最適化運用によるパフォーマンス推移
上記の施策により、CV数拡大と獲得効率化(ROAS改善)を目指した運用を行った結果、最も収益性の高い来店予約CV数が増加、ROAS・CPAを改善することに成功いたしました。
広告運用開始4ヶ月目と1ヶ月目との比較においては、来店予約CV数で250%の増加と、ROASで600%の改善をいたしました。
※運用開始後4ヶ月目と1ヶ月目の比較
※CV・ROASはGoogleAnalyticsで計測された数値にて算出
下記は、弊社での広告運用開始から4ヶ月間のパフォーマンス推移です。
1ヶ月目~2ヶ月目のタイミングでデータを蓄積、またクライアントにヒアリングを行いCVポイントごとにコンバージョン値(売上期待値)の設定を行いました。
その結果、予算の違いによるCVの増減があるものの、3ヶ月目以降で重要視する指標の改善が見られました。
まとめ
今回はROASで広告運用を行う重要性やKPIの設定方法、重要とするCVの増加・ROAS改善に繋がった運用事例までご紹介をさせていただきました。
データの与え方一つで成果が変わるのが運用型広告です。
現状の配信で思うように求めているCVが増えないと感じておられる店舗型ビジネスの事業者様には、ぜひ各CVポイントの売上期待値を算出されてみることをオススメいたします。
正しいKPIが設定されているか、KPIを達成するためのデータ活用&広告活用ができているかを、今一度ご確認してみてください。
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