インターネット上のさまざまな場所で見かける広告ですが、実に多くの種類があります。
その種類と特徴・性質を把握し、適切な出稿を行っていくことが、WEBマーケティングで効率良く成果を獲得していくポイントです。

この記事では、そんなウェブ広告の種類一覧について詳しく解説します。
現在主流となっているネ ウェブ広告についての解説だけでなく、運用の手順やポイントまでお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

ウェブ広告とは?

ウェブ広告とは、インターネット上で表示される広告の総称です。

GoogleやYahoo!などの検索結果に表示されるリスティング広告や、WEBメディア上に表示されるバナー広告はもちろん、WEBメディアの記事広告、近年伸長している動画広告やSNS広告、さらに、成果報酬型のアフィリエイト広告、ユーザーのメールアドレスにダイレクトに届くメール広告などあります。

ひとくちにウェブ広告といってもさまざまな媒体が存在します。

ウェブ広告には、表示枠を買い取って広告を掲載する「純広告」と、表示枠や費用、オーディエンスやクリエイティブなど随時調整を行いながら広告を運用する「運用型広告」の2つが存在します。

現在の主流は運用型広告で、世界的な大手企業から国内の中小企業まで大小関わらずさまざまな事業者が利用しています。

ウェブ広告の市場規模は2021年時点で2兆7052億円、日本の広告費全体の40%弱にのぼります。
ウェブ広告は、マーケティング施策において主流の訴求手法といえます。

参考URL:電通 2021年日本の広告費用

ウェブ広告が必要になった背景

ウェブ広告が重要になってきた背景は、「インターネットの普及」「スマートフォンの普及」が主な要因となっています。

日本におけるウェブ広告は、1996年にYahoo!がバナー広告の取り扱いを開始したことが始まりです。
1996年当時、日本におけるインターネットの普及率は3.3%でしたが、2020年には83.4%となっています。
わずか4半世紀でインターネットは爆発的に普及したことになります。

さらに、インターネットを利用するデバイスとしてスマートフォンが登場しました。

2008年のiPhone発売以来ユーザーも増え、2019年時点ではスマートフォンの保有率は日本の全世帯で67.6%となっています。

参考URL:総務省 令和3年情報通信白書_デジタル状況

スマートフォンは常にユーザーの手元にあり、ユーザーは日々インターネットにアクセスし、検索やSNS、動画サイトなどを利用しています。

国内でインターネットが普及し、さらにスマートフォンが普及した結果、消費者が情報を見たり収集したりするメディアが、テレビや新聞などのマス媒体からスマートフォンに移りました。

それに伴い企業のマーケティング活動も、マスメディア中心の考え方からインターネット、特にスマートフォンを中心とした考え方にシフトしています。

このように、インターネットの普及、そしてスマートフォンの普及により、インターネット上で商品・サービスを訴求できるウェブ広告の重要性が増してきたといえます。

ウェブ広告のメリット

ウェブ広告のメリットは、「安価に出稿できる」「ターゲティングができる」「効果測定ができる」「出稿調整が容易にできる」の4つが挙げられます。

ウェブ広告登場以前のテレビや新聞などの広告媒体は、この4つを行うことができませんでした。

マスメディアになると、広告予算は数百万から数千万単位でかかり、老若男女問わず幅広く認知を拡大できる一方で、特定の層に向けた広告を実施しにくいというデメリットがありました。
また効果測定も精緻に出るものではなく、広告出稿後の広告素材の差し替えや費用のコントロールも媒体社との調整や交渉が都度必要で、簡単に行うことができませんでした。

ウェブ広告では、運用型広告であれば最低1円〜数百円程度から出稿は可能です。
また、属性や興味関心などで、広告を配信するターゲットを絞り込むことも可能です。

さらに、表示回数やクリック数、費用、コンバージョン数を時間軸や属性など細かくデータを収集することができ、効果の測定・検証も行うことができます。

一度出稿した後でも、費用や素材、ターゲティングなどの設定変更も自由に行えるため、効果があまりないとわかった時点で早期に軌道修正することもウェブ広告のメリットと言えます。

狙ったターゲットに自由に出稿でき、効果まで検証できることから、マーケティング施策の費用対効果の最大化を図りたい企業にとっては、非常に使いやすい広告媒体と言えるでしょう。

ウェブ広告の種類

それでは、ウェブ広告にどのような種類があるのかを具体的に見ていきます。

ウェブ広告には、さまざまな種類があるので、それぞれ特徴や強みをとらえて活用していくことがポイントです。
ここでは、各ウェブ広告の概要から特徴についてご紹介します。

リスティング広告

リスティング広告は「検索連動型広告」と呼ばれるように、ユーザーが検索したキーワードに基づいた広告を、検索エンジンの検索結果に表示させる広告です。

ユーザーが検索したタイミングで広告を表示できるので、ニーズが顕在化したユーザーを獲得するのに最適な広告となります。
一方、認知拡大といった目的に対しては不向きの広告になります。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、WEBサイトやアプリなどの広告枠に画像や動画、テキストなどで表示される広告です。

「性別」「年齢」「配信地域」「興味関心」「サイトの訪問履歴」といったオーディエンスを絞り込んで広告配信ができるため、ニーズが顕在化していない潜在ユーザーへのアプローチに最適な広告と言われています。

DSP広告

DSP広告とは、広告主の狙ったターゲット属性の広告枠に配信される広告のことを言います。
DSPは、複数のアドネットワーク(Google、Yahoo!、nardなど)を束ねた広告配信ツールを指します。

DSP広告は、GoogleやYahoo!といった特定のアドネットワークだけではターゲット層に効率的にアプローチできない方のために、複数のアドネットワークを利用して広告配信ができるという特徴があります。

例えば、特定のゲームアプリだけに広告を配信したいという場合、Google広告やYahoo!広告だと複数のプラットフォームに広告を配信してしまいますが、DSP広告を活用することで、1つのプラットフォームに広告を配信することが可能です。

動画広告

動画広告とは、その名の通り、動画を使用した広告になります。

動画広告は、YoutubeやSNS広告はもちろん、WEBメディアや電車広告など様々な場所で掲載されています。
動画広告を利用する最大のメリットは、目を引きやすくテキストや画像よりも情報量を多く伝えられるということです。

そのため、潜在層から顕在層まで幅広いユーザーに最適な手法と言えます。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、広告主サイトに来訪したユーザーに対し、再度広告を配信することができる広告です。

たとえば、ECサイトなどで商品を閲覧した後、閲覧していた商品に関連したウェブ広告が表示された経験はないでしょうか。
その広告がリターゲティング広告です。

リターゲティング広告は、サイトに既に来訪しているユーザーに広告訴求できるので、顕在層向けのユーザーに最適な手法です。

ただ、リターゲティング広告を実施する際は、プライバシーポリシーにその旨を明示するなどの対応が必要になるので、こうした動向を注視しつつ、利用することをおすすめします。

インフィード広告

インフィード広告とは、ニュースの記事一覧やSNSのタイムラインでの投稿の並びの中に表示される広告となります。

広告枠に出てくる広告と違って、インフィード広告は周りのコンテンツと同じ形式に合わせて広告表示されるため、自然な形でユーザーの目に触れることができます。

インフィード広告は、多様なWEBメディアに広告を掲載できることから、潜在層向けの広告手法と言えます。
インフィード広告を配信する際は、クリエイティブに注意をして作成を行いましょう。

上下に掲載されるコンテンツとデザインが違うと、逆にユーザーに引かれてしまうため、周りの記事や投稿に並んでも違和感のない広告クリエイティブを制作・入稿することがポイントになります。

SNS広告

SNS広告は、InstagramやFacebook、TwitterやTikTok、LINEなどのSNSで訴求できる広告です。

各SNSのフォロワーの投稿が流れてくるタイムラインをはじめ、Instagramではストーリーズやリール、Twitterではおすすめアカウント欄など配信面に対してターゲットを絞り込んで広告を表示させることができます。

最近では、SNSを閲覧して商品を購入するといったユーザーも増えており、認知拡大だけでなく購入といったゴールを目的とした広告活用が行われています。

そのため、SNS広告は潜在層だけでなく顕在層へのアプローチに適した広告手法と言えます。

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告は、成果報酬型広告ともよばれ、サイト誘導やコンバージョン獲得によって費用が発生する広告のことです。

通常、広告は広告枠に広告が表示されると費用が発生しますが、アフィリエイト広告の場合、広告の掲載だけで費用はかからず、ユーザーの何かしらのアクションが発生したときに広告費が発生します。

そのため、広告主側として、コンバージョン獲得に対する対価を支払えばいいだけなので、費用対効果が高い広告手法と言えます。

アフィリエイト広告は、顕在層に向けた広告手法になります。

また、広告形態も、単に画像や動画を広告枠に表示させるものではなく、アフィリエイターと呼ばれるメディアに、広告用の記事やサイトなどのWEBコンテンツを作成してもらわないといけません。

つまり、アフィリエイターに選んでもらえるような成果報酬の設定などがなければ、そもそも出稿しても掲載される保証がない点も押さえておくべきポイントです。

リワード広告

リワード広告とは、アフィリエイト広告の一種で、動画広告を最後まで視聴したり、広告のリンク先でアプリをダウンロードしたりすると、ユーザーに報酬が支払われる広告です。

報酬は、アプリ内で使える特典やポイントなどで付与されます。

アフィリエイト広告と違う点は、アフィリエイト広告はアフィリエイター(メディア)にのみ広告費が支払われますが、リワード広告はその広告費の一部がユーザーに還元されるということです。

このような仕組みから、リワード広告は、アプリのインストールや動画の視聴が目的の場合に高い効果が期待できます。
一方、報酬目的のユーザーもいることから、アプリはインストール数は上昇したが使用率が低下しやすい、といったデメリットがあります。
また広告の量を増やしすぎるとユーザーの不快感を喚起し、マイナスの評価がつくこともあるので注意が必要です。

ウェブ広告運用の基本手順

ウェブ広告の基本的な運用手順は、「1.媒体の選定」「2.費用の算出」「3.出稿」「4.出稿後のPDCA」の4つとなります。
ここからは、それぞれの手順についてご紹介いたします。

1.媒体の選定

媒体の選定については、目的やターゲットによって適切な媒体を選ぶことが重要です。

顕在層を獲得する施策であればリスティング広告やリターゲティング広告、潜在ニーズをもったユーザーの認知を獲得する施策であればディスプレイ広告やSNS広告、といったように、目的と手段を合わせないと求める成果がでてこないこともあります。

2.費用の算出

費用の算出は、純広告であれば、媒体によって単価が決まっているため費用算出は容易です。
一方、期待される成果に対してどのくらいの費用が必要か、という観点で計算します。

一番単純な計算式は「目標獲得数(CV数)×獲得単価(CPA)=投下広告費」です。
施策によってどのくらいの獲得数が欲しいのかを決め、過去実績や類似施策の獲得単価、1件の売上獲得あたりにかけられる広告費(売上―利益―広告費を除く諸経費)を掛け合わせると必要な広告費が算出できます。

3.出稿

出稿について、具体的な作業としては、広告クリエイティブを準備し、広告タグをWEBサイトに設置し、入稿を行います。

このとき、全ての媒体で審査が入りますので、各媒体の入稿規定やポリシーを理解した上で、広告クリエイティブやランディングページを作る必要があります。

4.出稿後のPDCA

出稿後のPDCAは、ウェブ広告とくに運用型広告の大きな特徴である運用の部分となります。

広告の配信実績を見ながら設定を変更し、成果を高めていく調整作業を行います。
上手に運用することで費用対効果を高めることができるため、運用型広告にとっては一番重要な部分ともいえます。

ウェブ広告の運用ポイント

最後にウェブ広告を運用する際のポイントをご紹介いたします。
ポイントは、「1.ターゲットを明確にする」「2.訴求メッセージを明確にする」「3.初期設定を正しく行う」「4.PDCAを適切に回す」の4つとなります。

1.ターゲットを明確にする

「ターゲットを明確にする」は、広告施策を組み立てる上で最初に行わなければならない作業です。

ターゲットが明確でなければ、ターゲットに合ったクリエイティブの制作や媒体の選定ができません。
ペルソナを設定し、細かいターゲットイメージを絞り込み、訴求ターゲットを明確にしましょう。

2.訴求メッセージを明確にする

「訴求メッセージを明確にする」は、ターゲットに対して何がメリットかをきちんと広告メッセージとして訴求する、ということです。

マス媒体のキャッチコピーのような広告メッセージではなく、ターゲットに対して商品・サービスのメリットを明確にわかりやすく訴求していなければ、クリックもされず最終的なコンバージョンにも繋がりませんので工夫する必要があります。
場合によっては、ABテストなどを実施して効果検証するのもいいでしょう。

3.初期設定を正しく行う

「初期設定を正しく行う」は、広告のキャンペーン設計やキーワード選定、広告タグの設置を正しく行わないと、広告の力を最大限に引き出すことはできません。

たとえば、Google広告やFacebook広告などは、機械学習を使った自動入札による運用が主流となっています。しているかは表示されているので、学習中は設定を触らないことがおすすめです。

正しく機械学習させるためには、一定のサンプルが必要であり、サンプルを多く取得するためには媒体が推奨するベストプラクティスに則り正しくキャンペーン設計や広告タグを設置することが重要です。
初期設定を正しく行わなければ、その後PDCAを回しても成果が上がらないことが多いので、非常に重要なポイントです。

4.PDCAを適切に回す

「PDCAを適切に回す」は、運用作業をむやみに実施するのではなく、前述の機械学習を踏まえて正しく実施する、ということです。

「PDCA」とはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルで、継続的に業務を改善していく方法のことをいいます。
ウェブ広告の運用作業は、実施中のキャンペーンの設定変更作業のことで、予算やクリエイティブ、ターゲティングなどの設定の変更を、PDCAサイクルで実施していくことになります。

広告を入稿後、すぐ成果が出てこないと焦ることもありますが、機械学習が安定するまでは基本的に変更作業は不可とされています。
管理画面上で「学習中」と表示されている場合は、まだ広告が目標に向かって運用するための学習期間中なので、学習が完了するまでは設定変更は我慢するようにしてください。

まとめ

今回は、ウェブ広告の種類一覧について、詳しく解説してきました。
日本にウェブ広告が誕生してから4半世紀経過し、現在では数多くのWEB広告が存在しています。

そんな多様な種類のウェブ広告を運用する上で意識していただきたいことがあります。
それは、「目的を明確化して適切なウェブ広告を選択すること」です。

ウェブ広告には、ユーザーへの認知や興味関心、比較検討といった消費行動にあわせて適した広告が存在します。

例えば、自社商品やサービスを認知させたいという目的であれば、ディスプレイ広告やSNS広告がおすすめです。
さらに、興味関心の高いユーザーにアプローチするならリスティング広告がいいでしょう。

このようにそれぞれのウェブ広告の特徴を意識して今後のウェブ広告運用を行ってみてください。

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