検索連動型広告(リスティング広告)を運用する上で最も重要な要素の一つが、キーワードとマッチタイプとなります。
どれだけ優れたコンテンツや広告文を作成しても、正しいターゲットに広告配信を行わなければ望んだ結果を得ることができません。

正しいキーワードやマッチタイプを選択していない場合、クリック率やコンバージョンの獲得率が低下するだけでなく、クリック単価やコンバージョン単価の上昇を招き、予算面にも大きな影響を与えることとなります。

今回は、検索連動型広告の出稿の際に肝となるキーワード&マッチタイプの考え方・最適な運用方法について、マッチタイプ別の違いや特徴、コンバージョンを拡大した実例を交えて解説をいたします。

キーワードのマッチタイプとは

検索連動型広告は、ユーザーがGoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索語句を入力し検索を行った際に、広告管理画面上で設定しているキーワードと一致した場合に、広告が配信される仕組みです。

マッチタイプとは、ユーザーによって検索された語句をどこまで正確に拾い、キーワードとマッチさせて広告を表示させるかを決めるするものです。

マッチタイプによっては、意図していない検索語句にも広告が配信される可能性があるため、キーワード選定と同じく、検索連動型広告の最も重要な要素の一つとなります。

また、キーワード選定のポイントについては、別の記事で解説しておりますので、キーワード選びにお悩みの方は合わせてご確認ください。

マッチタイプは全部で3種類

検索語句と設定しているキーワードとの一致率が高い順番から、完全一致>フレーズ一致>部分一致となります。
一致率が低くなるほど、設定したキーワード以外にも広告が表示される可能性が高くなります。

マッチタイプは全部で3種類
画像引用URL:Googleマッチタイプについて

各マッチタイプの詳細については、以下で解説いたします。

完全一致

完全一致は、基本的には登録キーワードと全く同じ検索語句が入力された際に広告が表示されます。

また、類似パターンとして識別される「漢字違い」や「変換ミス」なども、システムによって登録キーワードと類似していると判断された場合は、広告が表示されます。

キーワード:[広告代理店 大阪]
配信される検索語句:広告代理店 大阪、大阪 広告代理店
配信されない検索語句:広告 大阪、広告代理店 東京
記号:[]

フレーズ一致

ユーザーが検索した語句の中に、自分が設定したキーワードが含まれると、広告が表示されます。

語順が異なる場合や設定したキーワードの中に別の検索語句が含まれる場合でも、元々設定したキーワードの意味と同じであれば表示がされます。

語順が異なる場合や設定したキーワードの中に別の検索語句が含まれる場合でも、元々設定したキーワードの意味と同じであれば表示がされます。

キーワード:”広告代理店 大阪”
配信される検索語句:広告代理店 大阪  問い合わせ、AZ 大阪 広告代理店
配信されない検索語句:広告代理店 問い合わせ 東京、広告 大阪
記号:””

部分一致

部分一致とはマッチタイプの中で最も拡張性の高いマッチタイプとなります。

部分一致は登録したキーワードだけでなく、それに関連した検索語句にも広告が表示されます。
Google 広告とYahoo!広告でも拡張度の違いが見られ、Yahoo!の方が拡張度が広く、不要なクリックが発生する可能性が高いため注意が必要です。

キーワード:広告代理店 大阪
配信される可能性がある検索語句:広告 大阪、広告運用 大阪、WEB広告 運用
配信されない検索語句:広告代理店 ニューヨーク、保険代理店 大阪

※極端な例ですが、おおよその意味を考慮したキーワードの拡張がされます。
こちらについては、各媒体のアルゴリズムにより、適宜最適化されていると思われますので、日々変動する可能性があります。

効果的なマッチタイプの設定方法

3つのマッチタイプの違いや特徴について、ご理解いただけたでしょうか?
しかし、それぞれの特徴を理解するだけでは、適切なマッチタイプを選択することが難しい事も実情です。

それでは、それぞれのマッチタイプの特徴を踏まえて、どのような狙いを持った広告配信を行なう場合に、どのマッチタイプを選択する事で効果的な配信が可能かを解説いたします。

完全一致の効果的な使い方

完全一致の活用方法について解説いたします。
効果的な活用が想定されるシチュエーションと解説を記載しております。

完全一致の特徴をまとめると、配信キーワードのみに広告配信が可能なため、コンバージョンの確度が高いユーザーに配信する事が可能です。

シチュエーション解説
指名ワードに配信企業名やブランド名などの、固有名詞への配信を行なう際に有効
少額の予算で配信意図した検索クエリに広告配信が可能なため、なるべく少額の予算で目標達成を狙う場合に有効
関連性の高い検索語句が少ないフレーズ一致や部分一致では意図が異なるキーワードに配信される場合は、完全一致で絞り込むことが有効

フレーズ一致の活用方法について解説いたします。

フレーズ一致の特徴をまとめると、ある程度は軸となるキーワードへの配信を行いつつも、柔軟性を持たせることにより配信量を拡大する狙いがある場合に有効です。

シチュエーション解説
関連性のあるキーワードが多い主に一般ワードなどで関連ワードが多く、複数のキーワードを掛け合わせた検索が想定される場合に有効
幅広いキーワードに広告を配信したいユーザーの検索語句やニーズを把握したい場合に有効
競合が多い、クリック単価が高い競合が多数存在するキーワードへの配信は、クリック単価の上昇要因となるため、ある程度拡張させることにより、ビッグワードのみへの広告出稿を避けることができ、クリック単価の抑制につながる

部分一致の効果的な使い方

部分一致の活用方法について解説いたします。

部分一致の特徴をまとめると、まだニーズとして明確になっていないサービスの認知を狙ったり、さらなるCV獲得を目指す場合に有効です。

シチュエーション解説
商品やサービスの認知拡大が必要認知度が低く、商品名やサービス名で検索される可能性が低い場合は、関連キーワードに幅広く配信される部分一致が有効
どのようなキーワードでの広告配信が有効かわからない新たに広告配信をする場合など、どのようなキーワードに対してクリックやCVが発生するかが分かっていない際に有効
完全一致、フレーズ一致でのCV獲得が頭打ちになってきているさらなるCV獲得を目指したいが、現状のキーワードで検索ボリュームの大きな増加が見込めない場合は、指定したキーワードを基により幅広く検索語句を拾得する可能性がある部分一致が有効

全てのマッチタイプを使用する

必ずしも一つのマッチタイプに絞る必要はないため、全てのマッチタイプを活用することも可能です。

シチュエーション解説
各マッチタイプの配信量の想定が困難全てのマッチタイプを使用する事でマッチタイプごとのパフォーマンスの比較や検索語句の確認が可能。配信後の進捗確認や適宜改善策の実施が行いやすい
予算規模が大きい場合完全一致、フレーズ一致で配信量が確保されず、パフォーマンスも考慮しつつも配信量のさらなる拡大が必要な場合は、全てのマッチタイプの設定が有効

事例のご紹介

ここからはマッチタイプに関連した弊社での運用事例をご紹介いたします。

事例1:マッチタイプごとのパフォーマンス比較

配信構成について

1つのキャンペーン内で同一のキーワードにて、3つのマッチタイプを使用して配信を行いました。

業種・商材BtoC(ギフト系ECサイト)
キーワード「母の日 〇〇」
入札戦略クリック数の最大化
上限クリック単価100円
CVポイント購入

配信結果と要因

下記のグラフは、同一キーワードのマッチタイプごとでCVとCPAを比較した配信結果を表しています。

マッチタイプごとのパフォーマンス比較

結果としては、完全一致での配信にて最もCV獲得があり、さらにはCPAが優れていることが分かります。
CPAにおいては、部分一致>フレーズ一致>完全一致 の順番で、キーワードの拡張性が広いほど獲得単価が上昇しています。

このことから、CVの確度が高い検索語句(ユーザー)に広告配信を行える完全一致が、最も獲得効率の良いマッチタイプであることが伺えます。
しかし完全一致の課題は、キーワードの拡張性が狭いことで、広告の配信量やCV数が頭打ちになる可能性が高いことです。

そのため、目標とする配信量やKPIに応じて、フレーズ一致や部分一致を導入する必要がありますが、CPAの上昇を抑制しつつ、CVを最大化する施策が必要となります。

事例2:CV数拡大とCPA改善の事例

完全一致だけに頼らず、部分一致を活用しながらCV数を拡大し、さらにはCPAの改善にも繋がった運用事例をご紹介いたします。

配信構成について

本事例の案件情報や課題は以下となります。

業種・商材BtoC(交通輸送事業)
キーワード「地名1 地名2 高速バス」
「地名1 地名2 夜行バス」 など
従来の課題(前代理店での運用時)1.業界柄、一般キーワードがCV獲得の肝となっているが、近年クリック単価が上昇傾向にあるためCPAの改善に限界を感じていた
2.CPAをキープまたは改善できるのであれば予算を強化し、さらなるCV拡大を図りたい
CVポイント乗車予約

改善施策

前代理店の運用で感じていた課題をご共有いただき、弊社での広告運用を開始させていただきました。
過去配信のデータを拝見し、基本的なアカウント構成やキーワードに関しては踏襲しつつも、本事例で行った具体的な施策は下記の二点となります。

1.部分一致の活用&キーワードの精査
  • 完全一致やフレーズ一致がメインであったキーワードにて、拡張性の高い部分一致を用いることで多様な検索語句でのCV獲得を狙いつつ、不要な検索語句やCPAが高騰しているキーワードについて、数週間単位で除外と停止を実施。
  • 成果の良いキーワードに適切に予算が当たるよう、クリック単価が高い&CV獲得がないキーワードは登録を行わない。

<POINT>
アカウント内でデータを蓄積する必要があり、またどういった検索語句でCVが獲得できるかを確認するため、基本的には3語以上のキーワードを掛け合わせ、部分一致での配信を実施いたしました。
いきなり部分一致にトライするのが不安といった方でも、3語以上のキーワードであれば、ある程度狙った検索語句(ユーザー)に対しての配信が可能ですのでお試しください。

2.自動入札の導入&「データドリブンアトリビューション」への切り替え
  • 前代理店では手動入札での運用を行っていたが、学習機会を最大化させるため、CPA最適化の自動入札を導入。
  • 必要なデータ量が溜まったタイミングで「データドリブンアトリビューション」を導入。
3.自動入札の導入&「データドリブンアトリビューション」への切り替え
  • 前代理店では手動入札での運用を行っていたが、学習機会を最大化させるため、CPA最適化の自動入札を導入。
  • 必要なデータ量が溜まったタイミングで「データドリブンアトリビューション」を導入。

<POINT>
部分一致のパフォーマンスを最大化するためには、自動入札の導入が必要不可欠です。
さらには、アトリビューションモデルも「データドリブンアトリビューション」に切り替えることで各キーワードに対しての適切な評価が可能となります。
「データドリブンアトリビューション」の導入には必要なクリックやCVのデータ量が決められているため、少しハードルがありますが、マイクロコンバージョンを設定することにより導入を早めることが可能です。
参考URL:データドリブンアトリビューションについて

施策前後のパフォーマンス比較

上記の施策により、CV数の拡大と獲得の効率化(CPA改善)を目指した運用を行った結果、CV数が増加しながらも、CPAを改善することに成功いたしました。

施策実施後の前年比較においては、CV数で50%の増加と、CPAで20%の改善をいたしました。
また、予算を制限することなく、配信を拡大することができたため、予算の増額以上に大幅なCV増加を達成することが出来ました。

施策前後のパフォーマンス比較

下記は、施策の実施前と実施後の比較をグラフにまとめたものとなります。
導入後3ヵ月間の前年比較

施策前後のパフォーマンス比較

まとめ

今回は3つのマッチタイプの特徴やマッチタイプ別でのパフォーマンス比較から、CV増/CPA改善に繋がった運用事例まで解説をさせていただきました。

現状の配信で頭打ちを感じている検索連動型でも適切なキーワードやマッチタイプ、入札戦略・アトリビューションモデルを導入する事で、さらなるCVの獲得や売り上げ増を実現する事も可能です。

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