「商品点数が多く、クリエイティブ管理が煩雑化している」「既存顧客向けの広告配信に注力している一方、新規顧客向けの施策が不十分な状態になっている」…、比較的規模の大きいECサイトを対象とした広告配信において、クリエイティブ管理や施策についてお悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな時におすすめなのがLINE Dynamic Ads(LINE広告におけるダイナミック広告)です。

クリエイティブ管理の工数を抑えながら既存顧客・新規顧客の両方へアプローチ可能であることが強みである一方、従来は事前の権限付与申請が必須とされていたことに加え、最低出稿金額や配信面の制限が設けられていたため、ややハードルの高い広告フォーマットでもありました。

しかし、2022年12月上旬に実施されたアップデートにより制限が緩和され、権限付与申請が不要となったことで、誰でも簡単にLINE Dynamic Adsを利用できるようになりました。

そのような背景を踏まえ、今回はLINE Dynamic Ads導入のメリットやより効果的に広告配信を行うためのポイントについて解説いたします。

LINE Dynamic Adsとは

LINE Dynamic Adsとは、LINE広告において提供される広告タイプの1つで、LINE広告の「ダイナミック広告」を指します。

Webサイト上におけるユーザーの行動履歴から推測される興味関心・購買意向に基き、自動でパーソナライズされた広告が動的に配信されます。
他媒体のダイナミック広告と同様に、クリエイティブを個別に管理する必要がなく、ユーザーとより関連性の高い広告を自動で生成・配信できることが主なメリットであると言えます。

LINE Dynamic Adsのメリット

ここからは前述のメリットについてより具体的に解説いたします。

ギフトやアパレルを取り扱ったEC、旅行業、不動産を扱う機会の多い業種においてLINE Dynamic Adsは特に有効であるとされています。
そんなLINE Dynamic Adsを導入する具体的なメリットとしては下記のような例が挙げられます。

パーソナライズされた広告を自動で生成・動的に配信

LINE Dynamic Adsにおいては、特定の商品を閲覧した、あるいは購入したというようなユーザーの行動履歴に基き最適なクリエイティブが自動で生成され、動的に配信されます。

手動で選定されたクリエイティブとは異なり、あくまでもユーザーの行動履歴・興味関心に基いたクリエイティブが広告に使用されるため、配信効率やクリック率の改善が期待できます。

上記に加え、カルーセル式のクリエイティブでは複数の商品を同時に訴求可能である他、各商品ごとにURLを指定することができます。
広告をタップしたユーザーは直接商品詳細ページへ誘導されるため、より購入に繋がりやすくなると考えられます。

LINE Dynamic Ads配信イメージ
画像引用元:LINE Dynamic Ads

リターゲティング・新規顧客獲得の両方に強い

LINE Dynamic Adsの導入により、対象となるWebサイトに訪れたことのないユーザーに対しても広告を配信することができます。
このような配信手法はプロスペクティング配信と呼ばれます。

利用データ等の計測を担う「LINE Tag」を利用し、Webサイト上におけるユーザーの行動データを蓄積・分析することで、商品の詳細ページを閲覧したユーザーやカートに商品を追加したユーザー、商品を購入したユーザー等に類似した潜在顧客をLINE内で新たに探し出し、広告を配信できます。

既にWebサイト上でアクションを起こしたユーザー、およびこれに似た属性のユーザーにリーチ可能となるため、既存顧客だけでなく、新規顧客の獲得も期待できます。

プロスペクティング配信イメージ
画像引用元:【LINE】運用型広告「LINE Ads Platform」の新メニューとしてダイナミックリターゲティング広告「LINE Dynamic Ads」を提供開始

LINE公式アカウントとLINEポイントADを横断したターゲティング

LINE公式アカウントとLINEポイントADのメッセージやキャンペーンで獲得したデータやオーディエンスを活用することで、異なるプロダクトを跨いだ広告配信が可能となります。

このようなターゲティングの手法はクロスターゲティングと呼ばれ、ブランドや商品に対する関心がより高いと推測されるユーザーに的を絞って広告の配信を行います。
既にモチベーションの高いユーザーに対してブランド理解を促すことができる他、商品のカート追加や購入といったアクションを得られやすい等の効果が期待できます。

LINE広告のクロスターゲティングで実際に利用可能なオーディエンスは下記となります。

種類オーディエンスタイプ詳細
LINE公式カウントインプレッションメッセージを開封したユーザー
クリックメッセージのURLをクリックしたユーザー
ユーザーIDアップロードアップロードしたユーザーIDリスト
IDFA/AAIDアップロードアップロードしたIDFA/AAIDリスト
チャットタグLINEチャットで付与したタグリスト
友だち追加経路友だち追加経路別のリスト
ウェブトラフィックLINE Tagのトラッキング情報をもとにしたリスト
LINEポイントADPoint CVLINEポイントADを実施した際のコンバージョンユーザー
Point ClickLINEポイントADを実施した際のクリックユーザー
Point transactionLINEポイントADを実施した際のLP遷移ユーザー
Talk Head ViewVideo StartTalk Head Viewのバナーをクリックした動画再生開始データ
Video Completions動画の視聴完了データ
ClicksTalk Head ViewのCTAボタンをクリックしたデータ(Static掲載時含む)

基本的な配信方法としては、指定されたオーディエンスを対象にメッセージ配信を行う「指定配信」、指定されたオーディエンスを基にLINE内の類似ユーザーを対象とした拡張配信を行う「類似配信」、指定されたオーディエンスを除外し、それ以外のユーザーを対象としてメッセージ配信を行う「除外配信」の3つが挙げられます。

LINE Dynamic Adsにおける配信面

2022年12月時点では、下記の配信面に広告の表示が可能となっています。

  • タイムライン
  • LINE NEWS
  • LINEマンガ
  • LINE BLOG
  • LINEポイント
  • LINEショッピング
  • LINEファミリーアプリ
  • LINE広告ネットワークの3rd Partyアプリ(※)
    ※C CHANNEL・DELISH KITCHEN・MERY・ルナルナ等
  • トークリスト
  • LINE Home tab

前述のプロスペクティング配信等も含め、昨今ではより幅広いユーザーへのリーチが可能となりました。
ただし、配信面によって広告のフォーマットは異なるため、注意が必要です。

カルーセルシングルタイプ(1:1)シングルタイプ(16:9)
タイムライン
LINE NEWS
LINEマンガ×
LINE BLOG
LINEポイント
LINE ショッピング×
トークリスト××
LINE広告ネットワーク×
引用元:LINE Dynamic Ads 配信⾯ごとのフォーマット

LINE Dynamic Adsの効果をより高めるためのポイント

LINE Dynamic Adsの効果を最大限に引き出すには、LINE Tagや商品フィードを介して可能な限り多くの正確な情報を媒体へ送り、蓄積・分析させることがもっとも大切です。

情報の蓄積と分析によって媒体の機械学習が進み、よりコンバージョンの獲得に繋がりやすいユーザーにリーチできるよう広告を最適化することが可能です。
これら2つを正しく設計し、設置、運用することがLINE Dynamic Adsの効果を最大限引き出すことに繋がります。

ここからは、この2つを利用する際に特に大切なポイントについて解説いたします。

LINE Tagの活用

LINE Tagとは、LINE広告におけるタグのことを指します。

LINE Tagの設置により、ユーザーの行動履歴をより詳細に計測して媒体へ情報を送ることが可能となるため、広告配信における効果測定やオーディエンスの構築に活用することができます。

LINE Tag
引用元:LINE for Business LINE広告 「LINE Tag」について

ユーザーが特定のアクションを起こしたページの階層によって、媒体へ送られる情報の価値は変動します。

ページの深層部へ進むほどアクションの価値は高く、重要度の高いものとされるのが一般的ですが、すべてのページにも漏れなくLINE Tagを設置することでオーディエンスの幅が広がり、リターゲティングできるユーザーの母数を増やすことができます。

商品フィードをより充実させる

LINE Dynamic Adsでは、各業種に最適な項目を設定した商品登録用のテンプレートが提供されています。

商品フィードの必須項目・任意項目に可能な限り多くの正しい情報を入力することにより、機械学習の最適化を促すだけでなく、ユーザーに対するレコメンドの精度も高められます。

LINE Dynamic Adsでは、登録した商品フィードのカラム情報を元にクリエイティブが自動生成されるため、商品フィードのフォーマットに従って各項目に正しいデータを入力することが大切です。
※[image_link]→画像、[title]→タイトル、[description]→説明文へと反映

また、広告の効果を更に高めるため、タイトルや訴求ポイント(価格やセール情報、給与等)をより明確な文言で記載するよう心掛けましょう。

LINE Dynamic Adsの掲載方法

実際にLINE Dynamic Adsを配信するまでのフローは下記となります。

  1. LINE公式アカウント、および広告アカウント開設の申請
  2. LINE Tagの設置
  3. 商品フィードの登録
  4. キャンペーンの作成(設定するオーディエンスや商品フィードの登録)
  5. 配信開始

LINE Dynamic Ads導入時の注意点

商品点数について

商品フィードにおけるアイテム点数が10点未満の場合は該当の商品フィードの利用、および広告配信が不可となるため、注意が必要です。

商品フィードについて

商品フィードとしてアップロード可能なファイル形式、および容量上限は下記となります。

CSV TSV(Single Fileの場合)

  • ファイル容量上限:8GB
  • 商品点数(行):300万点(300万行)

JSON(Multiple Filesの場合)

Facebook・Google・Criteoのフォーマットを利用することも可能です。

  • ファイル容量上限:合計24GB
    ※複数ファイルのアップロード可(上限約100ファイルまで)
  • 商品点数(行):合計1,000万点(1,000万行)
    ※Imageの容量上限:5MB

なお、いずれのフォーマットを使用する場合でもテンプレートのヘッダーの値(カラム)を削除するとエラーとなるため、注意が必要です。

おわりに

LINE Dynamic Adsではクリエイティブの管理や広告の生成を一括で自動化できる反面、計測に関わる設計やツールの設定が一層重要な要素となります。

一見ハードルが高く見えてしまいがちですが、活用方法次第でパフォーマンスの改善が期待できますので、現在のクリエイティブ管理や施策についてお悩みの方はこの機会に是非始めてみてはいかがでしょうか。

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