Amazon広告の中で「Amazon DSP(Demand Side Platform)」は、認知拡大から売上向上まで、幅広いマーケティング目標を達成することができる強力な広告プラットフォームです。
しかし、多くの事業者にとって「Amazon DSPって何?」「スポンサー広告とはどう違うの?」といった疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、Amazon広告パートナーの当社が「Amazon DSP」の基本概念から実際の導入方法まで、EC事業者様が知っておくべき情報を網羅的に解説いたします。
<この記事は以下のような皆様のお役に立ちます>
- Amazonスポンサー広告の運用経験がある出品者:すでにスポンサープロダクト・ブランド・ディスプレイ広告を活用している方
- 売上拡大を目指すAmazonセラー:新たな集客手法を検討している方
- ブランド認知度向上を目指す事業者:Amazon外からの流入も含めた総合的なマーケティング戦略を立てたい方
本編の前に… Amazon DSPに対してこのような関心と不安はないですか?
- 「スポンサー広告は使いこなしているが、Amazon DSPって何ができるの?」
- 「Amazon外にも配信できるって聞いたけど、本当に効果あるの?」
- 「費用が高そうだけど、ROI(Return On Investment/投資利益率)は見合うの?」
- 「どんなターゲティングができるの?セグメントは何種類あるの?精度は?」
- 「スポンサー広告も併用すべき?併用するなら使い分けはどうすればいい?」
- 「Amazon外へのリンクって消費者心理としてマイナスイメージになるのでは?」
本記事では、これらの疑問に対して、実践的な解決策をお届けいたします!
ぜひ、最後までお読みいただけますと幸いです。
Amazon DSPとは?
「Amazon DSP(Demand Side Platform)」とは、Amazonが提供する広告プラットフォームで、Amazonやその提携メディアに広告を配信できるサービスです。
AmazonDSPの最大の特徴は、Amazonが保有する膨大な購買・閲覧データを活用し、高精度なターゲティングが可能な点です。
AmazonDSPでは、「Amazon内外にいる潜在層や検討層の顧客」に広告を配信することができます。
また、広告のリンク先(ランディングページ)は、Amazon内の商品ページやAmazonブランドストアのほかにブランドサイトなど目的に応じて柔軟に設定可能です。
Amazon DSPとスポンサー広告との主な違い
スポンサー広告はAmazon内で完結する広告であるのと比べ、AmazonDSPは配信面や広告リンク先をAmazon内(オンサイト)だけでなくAmazon外(オフサイト)に設定することが可能です。
※オンサイト(Amazon内):Amazonのサービス内に広告が表示される場所、Amazonでの購入行動に直結しやすい(CV・ROASに強い)
※オフサイト(Amazon外):Amazonと提携している外部サイトやアプリ上に広告が表示される場所、認知や比較・検討フェーズのユーザーにもリーチできる(広域アプローチ)
| 項目 | Amazon DSP | スポンサー広告 |
|---|---|---|
| 配信面 | 配信面Amazon内外 (オンサイト・オフサイト) | Amazon内(オンサイト)のみ |
| ターゲット層 | 層認知・検討段階の潜在層~購入層 | Amazon内の購入意向の高いユーザー |
| 出品の必要性 | 出品していなくても利用可能 | Amazon出品が必須 |
| 広告フォーマット | 静止画、動画、コマース機能付きなど多様 | 商品リスト、ブランド広告など |
| 最低出稿額 | マネージドサービスの場合、最低出稿額(例:50,000米ドル)が設定されています | 制限なし |
| 課金方式 | インプレッション課金(CPM) | クリック課金(CPC) |
| 主な目的 | ブランド認知・検討促進・新規顧客獲得 | Amazon内の購入促進 |
| 利用方法 | 認定代理店またはAmazonに直接依頼し運用 | セルフサービス |
ここからは、AmazonDSPとスポンサー広告との違いの詳細についてみていきます。
Amazon DSPとスポンサー広告とのターゲティング比較
後述しますが、Amazon DSPは、スポンサー広告では不可能な「実購買データ」「詳細な閲覧履歴」「ライフスタイル」によるターゲティングを行うことが可能です。
Amazonスポンサー広告よりも使用できるオーディエンスの種類が圧倒的に多く、精密なターゲティングがを実現することができます。
| ターゲティングの種類 | Amazon DSP | スポンサー広告 |
|---|---|---|
| Amazon独自データで詳細なセグメント指定可能 | キーワードや商品ベース | |
| キーワード | ×(キーワード直接指定不可) | ○(検索キーワード) |
| 商品ターゲティング | ○(ASINリターゲティング) | ○(ASIN、カテゴリ) |
| 購買履歴 | ○(実購買データ活用) | ×(利用不可) |
| 閲覧履歴 | ○(詳細な閲覧データ) | ×(限定的) |
| ライフスタイル | ○(100種類以上) | ×(利用不可) |
| 地域ターゲティング | ○(詳細設定可能) | ○(限定的) |
| デバイス | ○(詳細設定可能) | ○(基本設定) |
Amazon未出品企業でも利用可能
Amazon DSPは、スポンサー広告と異なり、Amazonで商品を販売していない場合でも利用することができます。
この場合、広告の遷移先はAmazon外の自社サイトやブランドページとなります。
Amazon DSPでは、Amazonの購買・閲覧データをもとに、購買意欲が高いユーザー層や特定ジャンルに興味関心を持つユーザーへピンポイントに広告を配信できるため、将来的にAmazonでの販売を検討している企業にとっては、「Amazonユーザーの反応を測る」テスト施策として最適です。
Amazon外からの新規顧客獲得にも強いAmazonDSP
Amazon DSPは、認知から購入までのすべての購買フェーズに対応できるフルファネル型の広告プラットフォームです。
特に強みを発揮するのが、「まだブランドを知らない潜在層」や「比較・検討段階にいる見込み顧客」へのアプローチです。
Amazonが保有する購買・閲覧履歴などのファーストパーティデータを活用し、興味関心の高いユーザーを正確にターゲティングすることで、効率よく広告接触が可能です。
さらにAmazon DSPは、Amazon内だけでなく、外部のWebサイトやアプリ、動画サービスなどAmazon外(オフサイト)のメディアにも広告を配信できます。
これにより、まだAmazonに訪れていない新規顧客にもリーチし、広告からそのままAmazonの商品ページやブランドストアに誘導することが可能です。

Amazon外から見込み客を呼び込み、Amazon内での購買へとつなげることで、新規顧客の獲得と売上向上を一貫して支援できるのが、Amazon DSPの大きな特徴です。
分析・レポートツールの提供
Amazon DSPには、リアルタイムで広告配信のパフォーマンスを詳細に可視化・分析できる高度なレポートツールが提供されており、キャンペーンの効果を正確に把握し、次なる施策へと活かすことが可能です。
主なレポート機能・指標
任意の期間や指標・粒度を指定し、日次・週次・月次での自動出力やダウンロードが可能な「カスタムレポート」のほかに、Amazon DSP専用の管理画面上で主要KPIのリアルタイム把握が可能な「リアルタイムダッシュボード」で確認することができます。
| カテゴリ | 主な指標 |
|---|---|
| 配信パフォーマンス | インプレッション数、クリック数、CTR、CPC、CPM、費用など |
| コンバージョン分析 | ビューコンバージョン、クリックコンバージョン、CVR、ROAS、購入件数、売上額など |
| ユーザー行動分析 | 商品閲覧・カート追加・購入までの行動データ |
| オーディエンス分析 | 配信対象となったセグメント別の反応・成果分析 |
| クリエイティブ比較 | バナーや動画ごとのクリック率やCV率、貢献度の比較 |
Amazon DSP最大の武器:独自ターゲティング機能の全貌
Amazon DSPの最大の特徴は、他では絶対に利用できないAmazon独自の購買・閲覧データを活用したターゲティングにあります。
Amazon DSPでは、大きく分けて「Amazonオーディエンス」と「カスタムAmazonオーディエンス」の2つのカテゴリーが提供されています。
ここからは、2つのカテゴリーの詳細についてご紹介していきます。
Amazon DSPの最大の武器!:Amazonオーディエンス
Amazon DSP最大の武器であるAmazonが保有する実際の行動データに基づく「事前構築済み」のオーディエンスです。
Amazonでは圧倒的な規模のショッピングパターン(数十億ともいわれています)データを持っており、そこから構築されたセグメントは、精度とバリエーションの両面で圧倒的です。
他のDSPでは絶対に手に入らない精度の高いデータです。
ブラウジング、ショッピング、ストリーミングに関する幅広いインサイトを活用した独自のシグナルにより、ニッチなセグメントでも十分なリーチ数を確保できる効果的なターゲティングが可能です。
<具体例>
- 購入履歴:「ペット用品を実際に購入したユーザー」
- 閲覧履歴:「キッチン用品のページを頻繁に見ているユーザー」
- Prime Video視聴履歴:「料理番組をよく見るユーザー」
- 検索履歴:「オーガニック食品を検索するユーザー」
どのようなオーディエンスが用意されているのでしょうか!?
主なオーディエンスの詳細を見ていきましょう!
インマーケットオーディエンス(購買意向層)
インマーケットオーディエンスとは、「今まさに商品を買おうとしている人」に向けて広告を出すことができるターゲティング機能です。
ユーザーの検索・閲覧・比較などの行動データから、購買意欲の高い人を自動で識別します。
自社商品を見たことがない新規ユーザーにも配信が可能なため、新規獲得にも強いのが特徴です。
購入意欲MAXのタイミングに広告を配信することができるため、クリック率や購入率が高く、費用対効果が良い配信が可能です。
ライフイベントオーディエンス
ライフイベントオーディエンスとは、「結婚・出産・引っ越し・旅行など人生の大きなイベントが近い人たち」に向けて広告を出すことができるターゲティング機能です。
ユーザーの検索履歴・閲覧行動・購入傾向などのデータをもとに、人生の節目を迎えている可能性の高いユーザーをAmazonが自動で識別します。
たとえば、ベビーカーや妊婦向けサプリを閲覧しているユーザーであれば「出産準備中」と判断され、その人にベビー用品の広告を届けることができます。
この仕組みを使う最大のメリットは、ニーズが一時的に高まっているホットな層に、タイミング良く広告を届けられることです。
そのため、クリック率や購入率が高まりやすく、新規顧客の獲得にもつながります。
一方で、イベント発生前後の一時的な購買傾向に依存しているため、母数が少ないケースもあります。
興味・関心に基づくオーディエンス
興味・関心に基づくオーディエンスは、特定のジャンルやライフスタイルに関心のあるユーザーに広告を配信するAmazonのターゲティング機能です。
Amazonが収集している膨大なユーザー行動データ(検索履歴・商品閲覧・購入傾向など)をもとに、「アウトドア好き」「美容意識が高い」など自動で判別されます。
まだ購買検討中ではない“潜在層”にもアプローチできるため、新規顧客の認知拡大に効果的です。
一方で、購買意欲がまだ低い場合もありCV率はリターゲティングより低くなる傾向があります。
そのため、興味を引く広告クリエイティブ設計が重要です。
ライフスタイルオーディエンス
ライフスタイルオーディエンスは、Amazonユーザーの行動から「どんな暮らし・趣味・価値観を持っているか」を推定し、
たとえば「ヘルス志向の人」や「子育て中の親」など、ライフスタイル単位で広告を届けられる機能です。
メリットは、価値観や生活習慣に基づいて中長期的な関心を持つ層にアプローチできること。
一方で、購買意欲が今すぐ高いとは限らないため、成果までに時間がかかる場合もあります。
ブランディングや継続購入を重視した訴求に特に向いています。
デモグラフィックオーディエンス
デモグラフィックオーディエンスは、性別・年齢・世帯構成などの属性情報に基づいて広告配信するターゲティングです。
メリットは、商品ターゲットと一致する層に効率よく広告を届けられる点で、無駄な配信を抑えられます。
ブランド訴求やカテゴリ特化型商品のプロモーションに有効です。
一方で、Amazon上では属性が推定ベースのため、完全に正確とは限りません。
購買行動と組み合わせて使うと、より効果的に活用することができます。
デバイスオーディエンス
デバイスオーディエンスは、ユーザーが使用しているデバイス(PC、モバイル、Fire TVなど)に基づいて広告を配信するターゲティングです。
メリットは、利用環境に最適な広告表示ができ、表示・クリック効率が高まる点です。
たとえば、Fire TVユーザーに動画広告を見せるなど媒体との親和性を活かせます。
一方で、属性や興味までは特定できないため、単体での精度は限定的です。
他のオーディエンスと掛け合わせて使うことで効果が高まります。
戦略的活用:カスタムAmazonオーディエンス(広告主が作成するオーディエンス)
カスタムAmazonオーディエンスは、自社の顧客データや広告接触履歴をもとに、特定のユーザー群に広告を配信できるターゲティング手法です。
たとえば、過去購入者やサイト訪問者、メールアドレスのリストなどを使って独自にセグメントを作成することができます。
メリットは、精度の高いターゲティングとリターゲティングが可能で、CV率やROASが向上しやすい点です。
一方で、十分なデータ量がないとオーディエンスが構築できないという課題もあります。
CRM連携や、過去の広告配信履歴と組み合わせることで、戦略的な広告活用が可能になります。
<具体例>
- ASINリターゲティング:「自社商品Aを見たが購入しなかったユーザー」
- 競合(類似)商品ターゲティング:「競合ブランドBの商品を閲覧したユーザー」
- カスタムリスト:「自社サイト訪問者のリスト」
ただし、ルックバック期間の設定や除外条件の調整など、設計や運用には一定の専門知識と手間が必要です。
その分、精度の高いキャンペーンを多彩に展開できるという大きなメリットがあります。
ここでは、特に競合対策の切り札ともいえる、ASINリターゲティングにフォーカスして、詳しく解説していきます。
ASINリターゲティング(競合対策の切り札)
ASINリターゲティングは、特定の商品(ASIN)を閲覧したユーザーに対して再び広告を表示するAmazonの機能です。
「商品ページを見たけど買わなかった人」へ再アプローチすることで、購入を後押しできます。
自社商品に限らず、競合商品の閲覧者を対象にすることも可能です。
クーポンやレビューなどを組み合わせて訴求すれば、CV率アップが期待できます。
カート放棄対策や比較検討層への追いかけ広告として効果的です。
一方で、閲覧数が少ないASINでは配信ボリュームが出にくい点に注意が必要です。
高精度なターゲティングが可能な分、戦略的な設計が成果を左右します。
ASINリターゲティングでは、購買、閲覧、類似の3種のセグメントが設定でき、競合商品検討者へのブランドスイッチの促進や対競合のディフェンス施策として活用できます。
<具体的な戦略例>
- ディフェンス戦略:「自社商品を見ていたけど、まだ買っていないユーザー」に対して、他社商品へ流れる前に再アプローチして“自社にとどまらせる”施策
- オフェンス戦略:Amazon上で競合商品のASINページを閲覧したユーザーに向けて、自社商品の魅力を訴求することで「比較検討中の層」を獲得する広告戦略
- 拡張戦略:ASIN閲覧ユーザーをベースに、その類似行動をしたユーザーや、関連カテゴリに興味のあるユーザーにまで広告配信を広げることで、認知拡大や新規顧客の獲得を狙う戦略です。
スポンサー広告との相乗効果
Amazon DSPを利用することでAmazonへ流入を促し、入ってきたユーザーにスポンサー広告を当てて売上を伸ばす、という好循環のサイクルを生むこAmazon DSPを使って、まずはAmazonの自社商品ページに人を呼び込みます。
そこへ、スポンサー広告を使って再度アプローチすることで、ユーザーの購入意欲を高め、売上アップにつながる好循環が生まれます。
つまり、DSPとスポンサー広告をうまく組み合わせることで、より高い効果が期待できるということです。
- Amazon DSPで認知・検討層にアプローチ
- Amazon内への流入を促進
- 流入したユーザーにスポンサー広告で購入を促進
- 売上向上により広告予算を拡大、さらなる成長へ

配信面:Amazon内外での露出機会
Amazon DSPの配信面は、大きく分けて、Amazon内(商品ページ・検索結果など)と、Amazon外(ニュースサイト・アプリ・動画サービスなど)があります。Amazon内では購買意欲の高いユーザーにアプローチでき、CV(購入)に直結しやすいのが特徴です。
一方、Amazon外では認知拡大や潜在層の取り込みに向いています。
この「内と外」の両方に配信できるのが、Amazon DSPの大きな強みです。
Amazon内の配信面(オンアマゾン)
Amazon DSPを使うことで、Amazonのサイト・アプリ上にも広告を配信できます。
これは「購買直前」のユーザーにアプローチするため、CV(購入)獲得に強い面です。
| 配信面 | 説明 |
|---|---|
| 商品詳細ページ(PDページ) | 商品閲覧中のユーザーに表示、リターゲティング向き |
| 検索結果ページ | 特定キーワードで検索したユーザーに表示される |
| トップページ・レコメンド枠 | 閲覧履歴や購買履歴に基づくパーソナライズ表示 |
| カートページ・購入完了ページ | クロスセル・アップセルのチャンスが高い場面 |
| Fire TV、Kindle内 | Amazonデバイス上に動画広告や静止画広告が表示可能 |
Amazon外の配信面(オフアマゾン)
Amazon DSPの最大の特徴は、Amazon外のWeb・アプリにも広告を配信できる点です。
Amazon購買データを活用したターゲティングはそのままに、認知・興味喚起フェーズのユーザーに広くアプローチできます。
| 配信面 | 説明 |
|---|---|
| Webサイト | Amazon Publisher Services(APS)提携サイトやGoogle Ad Exchange経由の主要媒体 |
| モバイルアプリ | Google Ad Exchange経由の主要媒体 |
| 動画メディア | プレミアム動画サービス |
| オーディオメディア | Amazon Music(音声広告)などのオーディオ面 |
効果事例:実際の成果データ
ここでは、実際にAmazon DSPを活用した企業が、どのような広告戦略を展開し、
それによって具体的にどのような成果や改善効果を得られたのかを詳しくご紹介します。
圧倒的なROI改善事例
あるCPG(消費財)ブランドでは、Amazonの新しいコンテキストターゲティングプロダクトを活用することにより、従来のマーケティングソリューションと比較して広告費用対効果(ROAS)が20倍に増加しました。
※ コンテキストターゲティング:「その人の興味関心」にではなく「今その人が見ている内容」に合わせて広告を出す方法
参照元:CPGブランドがCookieやモバイル広告IDに頼らずに広告費用対効果を20倍に高めた方法

新規顧客獲得の成功事例
ある大手通信ブランドでは、自社のファーストパーティデータ(既存顧客情報)を活用することで、既存顧客には広告を出さず、新規顧客だけに効率よく広告の配信を行うことができました。
その結果、ファーストパーティシグナルの80%を活用することで効率のよい広告の配信が可能となり、アクション単価(1人あたりの広告コスト、CPA)を40%削減することができました。
参照元:大手通信ブランドが持つ豊富なファーストパーティの信号を活用して、Amazon Adsがキャンペーンの最適化をサポートしました。

エミレーツ航空の事例
エミレーツ航空は、Amazon DSPのストリーミングTV広告、デジタル広告、音声広告を通じて、米国の旅行者へエコノミークラス訴求を展開。
その結果、動画広告の想起12%増、音声広告の想起9%増、ブランド好感度6%上昇といった効果的なリーチを実現した事例も報告されています。
参照元:エミレーツ航空がストリーミングTV広告、デジタル広告、音声広告で米国の旅行者にリーチする

費用と始め方:出品者向け実践ガイド
Amazonでの商品販売を拡大したいと考えている出品者にとって、Amazon DSP(Demand Side Platform)は非常に強力な広告手段です。
この記事では、出品者がAmazon DSPを導入するうえで知っておきたい「費用の目安」と「始め方のステップ」をわかりやすく解説します。
Amazon DSPの費用とは?
Amazon DSPは、最低出稿額がある程度高めに設定されているのが特徴です。
Amazonが直接運用するマネージド型の場合
- 最低出稿額:数百万円
- 課金方式:インプレッション課金(CPM)
- 運用手数料:自社で運用するため、追加の運用代行費は不要
認定パートナーを通じて出稿するセルフサービス型
- 最低出稿額:30〜50万円程度から(代理店により異なる)
- 代理店手数料:別途発生
- より柔軟な予算設定が可能
Amazon DSPの始め方:5ステップで導入
出品者がAmazon DSPを始める際の基本的な流れは以下の通りです。
Step1:目的を明確にする
「認知拡大」「コンバージョン獲得」「競合対策」など、目的によって最適なターゲティング手法や配信面は異なります。
事前に明確なゴールを設定することで、広告戦略全体の精度と効果を高めることが可能です。
Step2:パートナーを選ぶ
最低出稿金額のハードルが高いと感じる場合は、Amazon DSPの認定パートナーを通じて出稿するのが現実的かつスムーズな選択肢です。
認定パートナーの多くは、Amazonの公式トレーニングを受けた運用の専門家であり、比較的少額の予算から広告をスタートできる柔軟なプランを提供しています。
さらに、出稿に必要な手続きや設定、クリエイティブの最適化、レポート分析まで一貫してサポートを受けられるため、DSP広告の経験が少ない企業でも安心して導入可能です。
Step3:広告戦略を設計する
広告配信の設計段階では、どのようなユーザー層をターゲットとするのか(例:商品を過去に閲覧したリターゲティング層、まったくの新規層など)を明確にし、それに応じてAmazon内(オンサイト)またはAmazon外(オフサイト)といった最適な配信面を選定します。
さらに、ユーザーの購買フェーズや関心に合わせて、訴求メッセージの内容(例:限定キャンペーン、レビュー訴求、価格訴求など)を柔軟に設計することで、広告効果を最大化することが可能です。
Step4:クリエイティブ素材を用意する
Amazon DSPでの広告配信を行うには、動画広告やディスプレイ広告といった各フォーマットに対応したクリエイティブ素材(バナー)を事前に用意する必要があります。
フォーマットによってはモバイル用とPC用で表示仕様が異なるため、複数サイズを用意しておくことで配信面の最適化が図れます。
高品質なクリエイティブを使用することで、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)の改善にも直結します。
Step5:キャンペーンを運用・最適化
広告配信を開始した後は、Amazon DSPの管理画面や提供されるレポートをもとに、入札額(Bid)、使用しているクリエイティブ素材、ターゲティング条件(例:オーディエンス、配信面など)を継続的に見直し・最適化していくことが重要です。
特に、インプレッション・CTR(クリック率)・CVR(コンバージョン率)などの指標をモニタリングしながら、どの要素が成果に寄与しているのかを分析し、より効果的な組み合わせを模索します。
このようなPDCAサイクルを地道に回すことで、広告費の無駄を抑えながら、配信効率を最大化することが可能となります。
Amazon DSPは「出稿して終わり」ではなく、配信後の改善アクションこそが成果を大きく左右する要素です。
Amazon DSPは“誰のため”の広告手法か?
Amazon内外に広がる豊富なデータと広告配信網を活かし、ブランド認知から購入後フォローまで多様な目的に対応できる「Amazon DSP」。
しかし、その高度なターゲティング機能や幅広いリーチ力が最大限活きるのは、すべての商品・ブランドに対してではありません。
たとえば、価格帯が高く比較検討が前提となる耐久消費財や、ブランドの世界観を丁寧に伝える必要のあるプレミアムブランド、さらには自社ECへの誘導やオフライン販路との連携を重視する企業など、Amazon DSPが真価を発揮する条件には一定の傾向があります。
ここからは、Amazon DSPの特性をふまえ、どのような商品カテゴリ・ブランドフェーズにおいて導入すべきか、スポンサー広告とのすみ分けについてご紹介いたします。
Amazon DSPが特に効果的な商品・ブランドとは
高単価・検討期間の長い「高関与商材」
テレビ、冷蔵庫、カメラ、パソコンといった家電・デジタル機器類は、価格帯が高く、一度購入すれば長期間使用するため、ユーザーが慎重に比較・検討を行う「高関与商品」に分類されます。
このような商品カテゴリでは、広告による単発的な訴求ではなく、複数回にわたる接触や継続的な認知の積み重ねが購入意思の形成に大きく影響します。
Amazon DSPでは、こうした検討中のユーザーに対し、過去の閲覧履歴や購買傾向をもとにした「ASINリターゲティング」を行うことで、具体的にどの製品を見ていたかを踏まえた広告配信が可能です。
また、関連する商品群に興味を持つユーザーを自動で識別できる「インマーケットオーディエンス」や「ライフスタイルターゲティング」を活用すれば、比較検討フェーズの幅広い層に向けて、より高精度なアプローチが実現できます。
その結果、ブランドとの接点を増やし、検討ユーザーを競合に取られる前に自社商品への関心を高めることができるため、Amazon DSPは高関与商材と非常に相性の良い広告手法といえます。
認知拡大を狙うブランド(新商品やリブランディング)
新たに市場へ投入される化粧品や飲料、スポーツ用品といったカテゴリでは、まず「商品を知ってもらうこと=認知獲得」や「ブランドの印象を形成すること」が重要な広告の目的となります。
特に、これまでブランドや商品に接点のなかった潜在層に対してアプローチするには、単なるバナー広告だけではなく、より視覚的・聴覚的な訴求力を持つ広告手法が求められます。
Amazon DSPは、こうしたブランディング重視の広告展開においても非常に効果的です。
具体的には、ストリーミングTV広告(OTT)や動画広告(インバナー・インリード)、さらにはAlexa対応デバイスを活用した音声広告など、Amazonならではのメディアネットワークと広告フォーマットを通じて、生活者の多様な接点で自然に商品・ブランドの印象を届けることが可能です。
また、Amazonが保有する膨大なオーディエンスデータに基づき、購買履歴や興味関心に合ったユーザー層をターゲティングできるため、無駄なインプレッションを避けつつも、広く深くブランドの世界観を届けることができます。
これらの広告体験によって、ユーザーが商品に対して持つ第一印象やブランド認知度を効果的に高めることができ、のちの検索・閲覧・購買といった行動へと自然に誘導する導線を構築することができるのです。
したがって、新商品やリブランディングのタイミングにおいて、Amazon DSPは非常に有効なマーケティング施策のひとつといえるでしょう。
リピート購買が期待できる日用品・サプリなど
ベビー用品、健康食品、ペットフードといったカテゴリは、消費頻度が高く、一定の期間で繰り返し購入されることが前提となるため、単発の販売で終わらせず、いかにしてリピート購入につなげていくかが、ビジネスの成長を左右する重要なポイントです。
特に、1回目の購入で終わってしまうと、広告費に対して十分な利益を回収できないことも多いため、LTV(顧客生涯価値)を最大化する戦略が求められます。
Amazon DSPでは、Amazonが保有するファーストパーティデータ(ユーザーの購買履歴、閲覧履歴、カート追加状況など)をもとに、過去に自社商品を購入したユーザーに対してリターゲティングを行うことが可能です。
たとえば、「前回購入から30日が経過したユーザーに再度広告を表示する」といった設定ができるため、消費タイミングを見越したリマインド施策として活用できます。
さらに、自社商品を購入したことはないものの、類似カテゴリの商品を購入しているユーザー(例:他社のペットフード購入者)に対して拡張配信することもでき、競合対策としても効果的です。
このように、既存顧客への継続訴求と、新規顧客への拡張的なリーチの両立が図れる点は、Amazon DSPの大きな強みの一つです。
結果として、広告投資を「売り切り型」ではなく「継続収益型」へと転換することが可能となり、安定的かつ効率的な収益構造の構築につながります。
特にリピート性の高い商材においては、Amazon DSPを活用した中長期的なコミュニケーション設計が大きな成果を生む土台となるでしょう。
競争が激しいカテゴリでの差別化
美容家電、インテリア、調理家電といったカテゴリは、商品ラインアップが豊富であり、消費者にとって選択肢が非常に多い市場です。
そのため、ユーザーは複数のブランドを比較・検討しながら購入を決定する傾向が強く、どのタイミングで、どのように接触するかが購買行動に大きく影響します。
こうした競合ブランドがひしめくカテゴリでは、単に自社商品を露出させるだけでなく、「競合商品を見ているユーザー」に対して戦略的にアプローチをかけることが差別化のカギになります。
ここで有効となるのが、Amazon DSPが提供する「ASINターゲティング機能」です。
この機能では、特定のASIN(Amazonの商品識別コード)に紐づいた閲覧者・興味関心を示したユーザーを指定して、ピンポイントで広告を表示することが可能になります。
たとえば、「競合ブランドAの人気商品を見たユーザー」に対して、自社の類似商品や差別化ポイントを強調した広告を表示することで、検討リストの中に自社商品を滑り込ませる、あるいは購入直前の比較段階で「ブランドスイッチ」を促すといった戦略が実行できます。
また、ASINターゲティングは単なるオフェンス施策だけでなく、既存顧客の囲い込み(ディフェンス)にも活用可能です。
自社商品を購入済のユーザーが競合商品に興味を示している兆候が見られた際に、再度ブランドへの関心を引き戻す広告配信を行うこともできます。
このように、Amazon DSPを用いたASINターゲティングは、競合の中で埋もれるリスクを減らし、購買の意思決定プロセスに影響を与える広告戦略を可能にするツールとして、競争の激しい市場において非常に有効です。
ブランド力や機能性だけで勝負するのではなく、「見られているその瞬間」に効果的な広告で差をつけることが、最終的な購入選択につながります。
Amazon外でも展開したいD2Cブランド
Amazon DSPは、Amazon内の検索結果ページや商品詳細ページといった「オンサイト(Amazon内)」の広告枠にとどまらず、Amazon外の多様なメディアやプラットフォーム—いわゆる「オフアマゾン」領域—にも幅広く広告を配信できる点が大きな特徴です。
この「オフアマゾン」の配信先には、ニュースサイトやゲームアプリなども含まれ、日常的に多くのユーザーが接触している人気メディアが数多くカバーされています。
この仕組みによって、たとえばAmazonでまだ商品を検索・閲覧していない潜在層のユーザーに対しても、Amazonのファーストパーティデータを活用してターゲティングを行い、興味・関心に応じた広告を外部メディア上で自然に表示することが可能になります。
また、表示される広告をクリックしたユーザーをAmazon内の商品ページやブランドページに誘導することで、外部メディアからの流入→Amazonでの詳細確認・購入という購入までの導線を滑らかに構築することができるのです。
このような配信構造は、特に実店舗も展開しているD2Cブランドにとって大きなメリットとなります。
というのも、ブランドの世界観を広く伝える「認知フェーズ」から、Amazon内での「検討・購買フェーズ」まで、一貫した広告戦略を設計できるからです。
広告に触れたユーザーが最終的にAmazonで商品を購入するという行動を後押しする流れは、売上向上と広告費の最適化(ROAS向上)を両立する上で非常に理想的なモデルだといえるでしょう。
さらに、オフアマゾンでの広告配信には、インバナー動画・ストリーミングTV広告・音声広告といった表現力の高いフォーマットを選択できるため、商品の特徴やブランドメッセージを直感的に伝えることができ、認知から購買までのユーザー体験に厚みを持たせることが可能です。
つまり、Amazon DSPは「Amazon上の販売を伸ばしたいブランド」だけでなく、マルチチャネルでのブランド展開や新規ユーザーの獲得に力を入れたい企業にとっても非常に有効なツールとなっています。
オフアマゾン配信の活用によって、Amazonというプラットフォームの枠を超えた、より広範なマーケティング戦略の実現が可能となります。
スポンサー広告との使い分け戦略
Amazon内での広告戦略を立てる上で、よく比較検討されるのが「スポンサー広告(Sponsored Ads)」と「Amazon DSP(Demand Side Platform)」です。
両者は同じAmazon広告の枠組みにありながら、ターゲティング手法や配信面、そして果たす役割が大きく異なります。
スポンサー広告は、Amazon内で購買意欲の高いユーザーに直接訴求できるため、売上の即効性を求める場面に最適です。
一方、Amazon DSPはAmazon外のメディアも含めた広範なリーチが可能で、認知拡大や潜在層へのアプローチ、既存顧客へのリテンション施策として有効に機能します。
ここでは、フェーズごとにどちらの広告を選ぶべきか、目的ごとの使い分けをご紹介いたします。
| フェーズ | 推奨広告 | 目的 |
|---|---|---|
| 認知・興味関心 | Amazon DSP | ブランド認知、潜在顧客の発掘 |
| 検討・比較 | Amazon DSP + スポンサーディスプレイ | 検討促進、競合対策 |
| 購入直前 | スポンサープロダクト/ブランド | 売上の直接的な向上 |
| リピート購入 | Amazon DSP + スポンサー広告 | 顧客維持、アップセル |
まとめ:Amazon DSPで実現する次のステージ
Amazon DSPの核心価値
Amazon DSP(Demand Side Platform)の核心価値は、「Amazonが保有する高精度な購買データを活用し、Amazon内外のあらゆるメディアに対して、“購買に結びつく広告”を戦略的に配信できる」点にあります。
これまでのクリック重視・CV重視の広告運用では捉えきれなかった“潜在層の意識変容”や“中長期的な購買意欲の育成”を、Amazon DSPは広告施策の中に組み込むことが可能です。
たとえば、
- 比較検討期間が長い商材に対しては、段階的に情報接触を増やす設計で購買を後押しし、
- ブランド認知が低い商材では、Amazon外のメディア露出によってブランドの世界観を浸透させ、
- すでに購買履歴のあるユーザーには、ロイヤル化やクロスセルの提案を的確に行うことができます。
つまり、Amazon DSPの活用は「広告=刈り取り」の枠を超え、“ブランドを育てる”戦略的武器として機能するのです。
今後に向けたアクション
Amazon DSPは単なる運用型広告ツールではなく、フルファネル対応のマーケティングエンジンであり、 長期的な中長期的なブランド構築を支援する戦略的基盤でもあります。
これからのAmazon戦略においては、
- スポンサー広告による“刈り取り”
- Amazon DSPによる“育成と拡張”
この両輪を明確に意識し、予算と目的を設計することで、短期的な売上成果と、長期的なブランド価値の構築を同時に実現することが可能です。
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