BtoBマーケティングでは、広告のクリック数やコンバージョン数だけでなく、「広告によって実際にどれだけ成果が生まれたのか」を把握することが重要です。
LinkedInは2026年6月18日、広告によるインクリメンタルな成果(広告によって実際に生み出された成果)をより正確に測定するための新しい計測機能を発表しました。
今回のアップデートでは、キャンペーン単位のConversion Lift Testing、Brand Lift Testingのレポート改善、iOSにおける計測精度の向上、リフトテストの結果をより明確にするための計測手法の改善などが行われています。
参照元:LinkedInの新ツールで、マーケティング効果の増分を証明する方法
インクリメンタリティとは
インクリメンタリティとは、広告を配信したことで実際に生み出された成果を測定する考え方です。
通常のアトリビューションでは、広告をクリックした後にコンバージョンしたユーザーなどを広告の成果として計測します。
しかし、広告を見なくても購入や問い合わせをしていたユーザーが含まれる可能性があります。
そこでインクリメンタリティでは、広告を配信したグループと、広告を配信していないコントロールグループの結果を比較します。
これによって、
「広告を配信しなかった場合と比べて、広告によってどれだけ成果が増えたのか」
を測定します。

キャンペーン単位のConversion Lift Testingに対応
今回の大きな変更の一つが、Conversion Lift Testingをキャンペーン単位で実施できるようになったことです。
従来はアカウント単位でリフトテストを実施していましたが、今回のアップデートによって、個別のキャンペーンについて広告による追加コンバージョンを評価できるようになりました。
LinkedInによると、Campaign Managerに直接組み込まれており、LinkedInの決定論的なメンバーデータを利用して測定します。
そのため、キャンペーンの計画や最適化を行うCampaign Manager上で、テスト結果を確認して施策に反映できます。
LinkedInが紹介している事例では、AIを活用したコンタクトセンター・コミュニケーションソリューションを提供する企業がキャンペーン単位のConversion Lift Testingを利用しました。
その結果、広告に接触したユーザーは、コントロールグループと比較して26%コンバージョンする可能性が高かったとされています。
ただし、この数値はLinkedInが紹介している特定企業の事例であり、すべての広告主で同様の結果が得られることを示すものではありません。
Brand Lift Testingのレポート画面を刷新
Brand Lift Testingについてもレポートが改善されています。
Brand Lift Testingでは、LinkedIn広告が以下のようなブランド指標に与える影響を測定できます。
- ブランド認知
- ブランドの検討
- 購入意向
今回の刷新では、レポートの概要がより分かりやすくなり、信頼度に基づいたリフト状況や、オーディエンスに基づくインサイトを確認しやすくなりました。
LinkedInは、データ分析の専門知識がないマーケターでもテスト結果を理解しやすくすることを目的としています。
iOS環境における計測精度を改善
iOSのトラッキング環境の変化によって、広告に接触したユーザーとコントロールグループを正確に比較することが難しくなっています。
今回LinkedInは、プライバシーを保護しながらiOSのトラフィックをマッチングする仕組みを導入し、計測できるシグナルの範囲を拡大しました。
LinkedIn Audience Networkなどの配信チャネルでもシグナルのカバレッジを広げ、データの不足を減らすことで、広告のインクリメンタルな効果をより正確に比較できるようにしています。
このiOS計測の改善は、従来Brand Lift Testingで提供されていたものに加えて、Conversion Lift Testingにも拡大されています。
リフトテストの結果をより判断しやすく改善
リフトテストの計測手法も見直されています。
LinkedInは、より多くのテストで明確な結果を得られるよう、信頼度の測定方法を改善しました。
また、リフトテストにはベイズアプローチを採用しており、LinkedInはこれによって結果が判断できないテストを減らし、意味のあるインクリメンタルな効果を検出しやすくすると説明しています。
リフトテストを実施する際のポイント
LinkedInは、効果的なリフトテストを行うためのベストプラクティスも紹介しています。
1つのビジネス上の課題に絞る
1回のテストですべての指標を測定するのではなく、
- ブランド想起
- 検討
- コンバージョン
など、1つの成果に焦点を当てることが推奨されています。
十分な予算・期間・オーディエンス規模を確保する
LinkedInは、明確な結果を得るためには十分な規模のテストが必要としており、ベストプラクティスとして8万米ドル以上の予算、30~90日のキャンペーン期間、十分なオーディエンス規模を挙げています。
そのため、少額予算の短期間キャンペーンでは、リフトテストを実施しても明確な結果を得られない可能性があります。
Conversions APIの利用を推奨
LinkedInは、Conversion Lift Testingを実施するキャンペーンまたはアカウントでは、Conversions APIを利用することを強く推奨しています。
Conversions APIを利用することでデータ品質を高め、計測上の欠損を補完し、より正確な結果につなげることが期待されています。
複数のテストでオーディエンスを重複させない
同じオーディエンスに対して複数の実験を重複して実施すると、テスト結果に影響する可能性があります。
そのため、リフトテストを複数実施する場合は、オーディエンスの重複を避けることが推奨されています。
LinkedIn広告の運用にどのような影響がある?
今回のアップデートによって、LinkedIn広告では従来のクリック数・コンバージョン数などのアトリビューション指標だけではなく、「広告が実際に生み出した追加成果」を検証する選択肢が広がりました。
特にBtoB広告では、検討期間が長く、複数の接点を経て問い合わせや商談、受注につながるケースもあります。
そのため、単純なラストクリックだけでは広告の貢献度を判断しにくいケースがあります。
今回のConversion Lift Testingなどを活用することで、「広告を配信した結果、どれだけ成果が増えたのか」という観点から広告効果を検証できるようになります。
注意点
- Conversion Lift Testingを活用する場合は、十分な予算・期間・オーディエンス規模を確保する必要があります
- LinkedInは、Conversion Lift Testingを実施するキャンペーンまたはアカウントでConversions APIの利用を強く推奨しています
- CRMデータを活用した分析では、CRMとの連携およびデータの登録・同期状況を確認する必要があります
- 今回は計測・レポート機能の拡張であり、既存キャンペーンの配信設定に直接影響するアップデートではありません
まとめ
今回のアップデートでは、LinkedIn広告の効果測定について以下の機能が強化されました。
- キャンペーン単位のConversion Lift Testingに対応
- Brand Lift Testingのレポートを刷新
- iOS環境における計測精度を改善
- リフトテストの結果をより明確に判断できるよう計測手法を改善
- Conversions APIの利用を推奨
今回の変更によって、LinkedIn広告の評価を「クリックやコンバージョンが何件発生したか」だけではなく、「広告によって追加でどれだけ成果が生まれたか」という観点から検証しやすくなりました。
特にBtoBマーケティングにおいて、広告のROIをより正確に説明したい場合や、広告予算の配分をデータに基づいて判断したい場合に活用を検討できる機能です。
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