リスティング広告の基本の「キ」、アカウント構成。
広告文やキーワード設定などに目がいきがちですが、データ収集の効率を左右するアカウント構成はとても重要なポイントのひとつ。
今回はGoogleが推奨するアカウント構成や自動入札システムを中心に、アカウント再構築について事例を交えてご紹介いたします。
「キーワードや広告文を変えてもなかなかCPAやROAS改善に繋がらない」や、「長年の運用でアカウント内容が複雑になり最適な構成が分からない」といった悩みがある場合は、ぜひこの機会にアカウント構成を見直してみましょう。
アカウント構成について
まず初めに、アカウントがどのように構成されているかをおさらいしましょう。
リスティング広告において、アカウントは下記の図のようにキャンペーン・広告グループ・キーワード・広告文の4つの要素で構成されています。

アカウント:
キャンペーンや広告グループをまとめる一番大きな単位です。
基本的には1企業または1サービス(ブランド)につき1つのアカウントとされていますが、場合によっては複数のアカウントを使い分けることもあります。
キャンペーン:
アカウント配下で広告グループをまとめる単位です。
キャンペーンでは主に日予算や配信期間、配信地域などを管理しています。
広告グループ:
キャンペーン配下で広告とキーワードをまとめる単位です。
キーワードや広告の設定、入札単価の設定が可能です。
かつて、リスティング広告のアカウント構成では1広告グループ1キーワードのように、アカウント構成を細分化することが推奨されていました。
よりキーワードにマッチした広告文の配信や、キーワードごとの入札単価の調整をするためです。

しかし、上記のアカウント構成でキーワードも完全一致のみが主流だったため、検索語句やインプレッションがなかなか出ず、コンバージョンの拡張性が課題となっていました。
また、キーワードを追加するごとにキャンペーンや広告グループを作成するため、工数的にも大きな負担となっていました。
そこで2014年頃からGoogleが推奨し始めたのが、「Hagakure」です。
Hagakureとは?
Hagakure(ハガクレ)とは、Googleが推奨するアカウント構成の指針のことです。
Hagakureを簡潔に表すと「できる限りシンプルなアカウント構成」で、アカウント構成の最適化を目的とし、1つのキャンペーンや広告グループの中に様々なマッチタイプのキーワードを追加する簡素化されたアカウント構成となります。
Hagakureのメリット
品質スコアの改善
品質スコアとはリスティング広告で入札するキーワードごとに設定される、キーワードと広告の関連性やLPの品質などを示す値で、1~10で評価されます。
品質スコアが高くなると、入札単価を低く抑えながら広告の掲載順位を上げることが可能です。
広告の品質では上記の要素のほかに広告の表示回数も重要な指標になります。
Hagakureのアカウント構成ではインプレッションが1つの広告グループに集約されるため、品質スコアの改善に繋がりやすくなります。
管理工数の削減
以前のアカウント構成では1つキーワードを追加するごとに広告グループを作成する必要があったため、運用工数がかかりPDCAを回すスピードが遅くなる傾向にありました。
アカウント構成をシンプルにすることで、入稿などにかかっていた分の工数を他の検証などに使うことができるため、PDCAを回すスピードが上がることが期待できます。
機械学習が機能しやすい
アカウント構成をシンプルにすることで、広告のインプレッション数やコンバージョン数といったデータが1つのキャンペーンや広告グループに集約されるため、機械学習が機能しやすくなります。
Hagakure導入時の注意点
広告文の見直し
従来のアカウント構成では、1つのキーワードやマッチタイプに対して広告文を作成していましたが、Hagakure構成の場合は複数のキーワードやマッチタイプに対して広告文を設定するため、どのキーワードで表示されても違和感のない広告文を作成する必要があります。
運用開始直後はパフォーマンスが安定しない
再構築後、十分なデータが蓄積されるまでは一時的にインプレッション数が減るなど、パフォーマンスが悪化する可能性があります。機械学習が機能し始めるまでおよそ1~2週間ほどの期間が必要となります。
弊社でのアカウント再構築の事例
ECのお客様でアカウントの再構築を行い、昨年対比で売上が20%増加、ROAS42%改善を実現した事例です。
こちらのお客様の場合は指名キャンペーンに広告グループが4つある状態でしたが、マッチタイプの調整より、広告グループを1つに集約しました。
業種・商材 | BtoC(女性向けアパレルサイト) |
CVポイント | 購入 |

また、インプレッションデータを集約することで、クリック単価が6円改善し、クリック率が43%上昇しました。

アカウントの再構築だけでもパフォーマンスの改善が見られますが、併せて自動入札やレスポンシブ広告など機械学習を活用することでより効果的な配信が可能になります。
GoogleではHagakureを前提として「GORIN」「MUGEN」といった機械学習などを活用した広告運用に関する方針を発表しています。
GORIN・MUGENについて
GORINとは
GORINとは、Googleのパフォーマンスを最適化するアカウント構成を行うための5つのフレームワークです。
Hagakureの構成をベースとしており、シンプルな構成という点については変わりありませんが、「ユーザーが求めた情報を正しく、最適なタイミングで届けること」を目的としています。
アカウント構成の簡略化
アカウント構成をHagakureのようにシンプルにし、広告グループ単位でインプレッションデータを集約します。
リーチの最大化
広告グループ単位でのインプレッションデータを増やしながらリーチを最大化させて、インプレッションシェア損失率を減らすよう調整します。
ターゲティング
適切なターゲティングでユーザーのニーズやタイミングに合わせて広告表示を行います。
ここで動的検索広告などGoogleのターゲティング機能を活用することを推奨しています。
広告フォーマット
広告表示オプションなどを活用し、広告がユーザーの目に留まるよう掲載順位の向上を目指します。
効果測定
ビジネスに合わせたKPIを設定し、そのKPIに沿った最適化を進めます。
MUGENとは
MUGENとは機械学習による配信の最適化と配信対象ユーザーの拡大を目的としたアカウント構成の指針です。
これまでのHagakureやGORINを前提としており、シンプルなアカウント構成や機械学習による最適化を維持しながら、新しいユーザーにリーチを広げるよう推奨しています。
具体的には、動的検索広告やレスポンシブ検索広告などの機械学習を活用したスマートクリエイティブや、自動入札の導入になります。
アカウント構築・最適化スケジュール
弊社ではHagakure・GORIN・MUGENを取り入れ、下記のようなスケジュールでアカウントの最適化や見直しを実施しています。

※お客様のビジネスにより異なる場合があります。
まとめ
Google広告のみならず、広告における機械学習は日々進化しています。
その変化に対応し、うまく使いこなすことがますます重要となってきます。
アカウントを再構築し、自動入札やスマートクリエイティブを活用することで、機械学習を最大化させパフォーマンス向上につながる可能性があります。
この機会にぜひアカウントを見直してみてはいかがでしょうか。
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