検索連動型広告やディスプレイ広告の配信では、入札戦略や広告クリエイティブ、地域エリアの変更などさまざまな調整が必要になります。

Web広告運用者の中には、アカウントの変更を行う前に「新しいクリエイティブは本当に効果があるのか」「コンバージョン目標を手動から自動へ変えてしまってもいいのか」など事前に成果を把握したいと思う方も多いと思います。

そんなお悩みを抱えている方におすすめなのが「Google 広告のカスタムテスト機能」です。

カスタムテスト機能を利用することで、配信中のキャンペーンに影響を与えることなくテストキャンペーンの作成や配信が行えるため、検討していたキャンペーンの効果が元のキャンペーンと比較して良いのか悪いのかを把握することができます。

そこで本記事では、カスタムテストの詳細からメリット、設定手順、確認方法、注意点について詳しく解説していきます。

Google 広告のカスタムテストとは?

カスタムテストとは、配信中のキャンペーンを複製してテストキャンペーンを作成することで、配信する前の効果を把握できるテスト機能のことを言います。

例えば、「新しい広告クリエイティブの成果を配信する前に把握したい」「入札戦略を手動から自動で変更した場合の成果を知りたい」など、元のキャンペーンと比較して効果を検証したい場合におすすめです。
カスタムテストは、2022年1月に「下書きとテスト」から今の「カスタムテスト」に名称が変更されました。

カスタムテストでできること

カスタムテストを活用する一般的な例は、以下の通りです。
幅広い指標で検証が行えるため、施策に合わせて活用されてみてはいかがでしょうか。

  1. 入札戦略の変更(手動、自動)
  2. マッチタイプの変更(完全一致、フレーズ一致、部分一致)
  3. 遷移先リンクのテスト検証
  4. 広告クリエイティブのテスト検証
  5. 検索キーワードの追加・除外
  6. 地域エリアや配信時間の変更
  7. プレースメント配信の追加・除外
  8. デバイス入札単価調整比率の変更
  9. 広告タイトル・説明文

カスタムテストのメリット

ここからは、カスタムテストを活用するメリットについて解説いたします。

各指標の成果が比較できる

カスタムテストのメリットの一つ目は、「各指標の成果が比較できる」点があげられます。

カスタムテストを活用することで、元のキャンペーンとテスト用で作成したキャンペーンの成果を比較することができ、今後の運用改善に役立てることにつながります。

比較できる指標は、クリック数、コンバージョン数、表示回数、クリック率、ビュースルーコンバージョン、平均クリック単価などさまざまな指標で比較することができます。

正確なABテストができる

カスタムテストを活用するメリットの2つ目は、「正確なABテストができる」点です。

今までのABテストでは、元のキャンペーンを複製して広告を配信すると、元のキャンペーンのAI学習がうまく引き継がれなかったり、学習中のデータが分散してしまうので広告の最適化にある程度の時間がかかってしまうなどのデメリットが生じていました。

しかし、カスタムテストを利用することで、元のキャンペーンで設定した機能がそのまま引き継がれるため、より正確なABテストが行えるようになります。

カスタムテストの作成方法

ここからは、カスタムテストの作成方法の手順について解説していきます。
 1.Google 広告管理画面にログイン

2.左メニューバーの「テスト」を選択し、プルダウンで表示された「カスタムテスト」を選択3.青い「+」ボタンをクリック

 2.左メニューバーの「テスト」を選択し、プルダウンで表示された「カスタムテスト」を選択
 3.青い「+」ボタンをクリック

4.一番右の「カスタムテスト」を選択し、テスト検証をしたいキャンペーンタイプを選び「続行」をクリック

 4.一番右の「カスタムテスト」を選択し、テスト検証をしたいキャンペーンタイプを選び「続行」をクリック
検索連動型広告(リスティング広告)の方は、「検索」を選択してください。ディスプレイ広告の方は、ディスプレイを選択してください。

5.6.7についてのキャプチャ画像

 5.「テスト名」を入力
 どのような内容のテストキャンペーンを行うのかを、ご自身でわかるような名称を記入しましょう。例えば、広告クリエイティブの変更におけるテストを行いたい場合は、テスト名を「【テスト】広告クリエイティブ」とするとわかりやすくなります。説明には、「男性のみのクリエイティブ → 男女が含まれたクリエイティブ」などのように変更内容を記載することをおすすめします。

 6.「テストキャンペーン名」を記載する
 7.「処理後キャンペーン名のサフィックス」を入力
「処理後キャンペーン名のサフィックス」は、もともと、5で指定したテスト名が表示されています。
テストのキャンペーン名は「元のキャンペーン名称 + サフィックス(末尾の文字列)」で作成されるため、変更したい場合は任意で変更をしましょう。

8.作成したテストキャンペーンを選択して、「Schedule」をクリック

 8.作成したテストキャンペーンを選択して、「Schedule」をクリック

9.10.11.12.13についてのキャプチャ画像

<テスト内容の詳細を入力>

 9.「テスト目標」では、テストで検証したい成果を選択
 例えば、クリック数を増やしたいという成果目標がある場合は、「クリック数」を選択して「引き上げ」を選択します。
その他にもコンバージョンの単価を下げたい場合は、「コンバージョン単価」を選択し、「引き下げ」を選択しましょう。
ここで設定できる項目は2つのみです。

 10.「テストへの分配比率のオプション」を設定
 「テストへの分配比率のオプション」では、テストに割り当てられるキャンペーン予算の割合と、テストで入札可能なオークションの割合を指定します。

例えば、2つの予算をそれぞれ半分の予算で分配する場合は、「50%」と設定してください。
検索連動型広告でのテスト検証を行う場合、以下の「詳細設定」から「検索ベース」もしくは「Cookieベース」のどちらか二つを選択します。

検索連動型広告でのテスト検証を行う場合、以下の「詳細設定」から「検索ベース」もしくは「Cookieベース」のどちらか二つを選択

2つの項目の内容については以下の通りです。

項目説明
検索ベース検索されるたびに、テストキャンペーンと元のキャンペーンのどちらかにユーザーをランダムに割り当てる機能。
Cookieベース検索した回数に関係なく、テストキャンペーンと元のキャンペーンのどちらか1つのみを表示する機能。
参考URL:Googleヘルプ カスタムテストを設定する

どちらがいいのかわからない場合は、「Cookieベース」を設定することをおすすめします。
Cookieベースの場合、ユーザーごとにテストキャンペーンと元のキャンペーンを配信できるので、精度を高く判別できるためです。

一方、「検索ベース」の場合は、検索ごとにキャンペーンの配信が振り分けられるため、一人のユーザーが複数回検索をした場合、正確な成果が把握できなくなってしまうケースが考えられます。

 11.ウェブテスト期間では、テストの期間を選択

 12.「同期を有効にする」ではオンとオフのどちらかを設定
 ここでの設定は、元のキャンペーンで変更や編集を行った内容をテストキャンペーンにも反映させるかを設定できます。
同期をしたくない場合は、オフを選択するようにしましょう。

 13.最後に「テストを作成」をクリックして完了です!

カスタムテストの結果を確認する方法

ここからは、作成したテストキャンペーンの結果を確認する方法をご紹介いたします。

  1. Google 広告の管理画面にログインして、左メニューバーから「テスト」を選択し、「カスタムテスト」をクリック
1.Google 広告の管理画面にログインして、左メニューバーから「テスト」を選択し、「カスタムテスト」をクリック
  1. 成果結果を確認したいテストを選択
2.成果結果を確認したいテストを選択
  1. ここで、元のキャンペーンとテストキャンペーンの各指標の確認が行えます。

さらに、比較データではテストキャンペーンと元のキャンペーンの掲載結果の差異を把握することができます。

3.ここで、元のキャンペーンとテストキャンペーンの各指標の確認

元のキャンペーンとテストキャンペーンを比較したデータが有意なものであったか、それとも無意なものなのかは以下の項目で表示されます。

項目内容
統計的に有意ですテストキャンペーンを本番キャンペーンに変更しても掲載結果を得る可能性が高いことを示している。
統計的に有意ではありません以下4つの理由から掲載結果を得にくいキャンペーンになる可能性が高いことを示している。
・テストの時間が十分でない・十分なトラフィック(サイト遷移など)がない・トラフィックを細かく分割しすぎてテストに十分なトラフィックがない・変更を行ったことによって、統計的に有意な差異が生じていない
参考URL:Googleヘルプ テストの結果を確認する

カスタムテストの注意点

最後に、カスタムテストの注意点を3つご紹介します。
内容をしっかり理解して、カスタムテストをうまく利用しましょう。

カスタムテストは、検索連動型広告とディスプレイ広告のみ

冒頭でも触れていますが、カスタムテストを利用できるキャンペーンタイプは「検索連動型広告」と「ディスプレイ広告」のみです。
そのほかのキャンペーンタイプでは適用されないので注意しましょう。

設定できない機能がある

カスタムテストでは、基本キャンペーンと同じ条件(機能)のサポートをしていますが、設定できないものもあります。
特に、以下の機能はサポート機能として検証できないので注意してください。

  • 入札単価の状況
  • 共有予算
  • 「ターゲット キャンペーン」や「ターゲット広告グループ」を使った広告カスタマイザ
    テストを作成してから割り当てることは可能

カスタムテストは一度に1つのみ

カスタムテストでは、最大5つのテストキャンペーンを作成することができます。
ただ、実施できるテストは1つのみです。

検証したいテストが多くある場合は、スケジュールをずらしてテスト検証を行う、もしくは、キャンペーンごとにGoogle 広告アカウントを作成してテストを実施するかのどちらかになります。

キャンペーンごとにGoogle 広告アカウントを管理すると非常に人的コストや工数がかかってしまうため、スケジュールをうまく調整してテストを実施することをおすすめします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、Google 広告のカスタムテストの概要、メリット、設定手順、確認方法、注意点を一挙に解説しました。

カスタムテストを利用することで、アカウント自体を変更することなくテスト検証が行え、さらには元のキャンペーンの条件と同期させてテストキャンペーンを配信できるので精度の高いABテストが行えます。

Google 広告は機能が多様に存在するため、あまり利用されない機能の1つでもありますが、ABテストを行う場合は、必ず利用した方がいい機能です!ぜひみなさんも積極的に利用してみてください。

プロの代理店が実施しているアカウントチェックを【無料】で受けてみませんか?

弊社では、事業会社様向けに運用型広告専業代理店である当社が長年培ってきた社内チェックツールを使用した「広告アカウントの無料診断」のご提供を行っております。
診断は無料ですので、お気軽にお申込みください。